助成金とは?
NPO法人やボランティア団体等(以下、市民活動団体という。)の活動を支える財源の一つが助成金です。助成金とは財団法人や社団法人、企業等がそれぞれの目的を達成するために社会的・公益的な活動を行う団体に提供する資金のことです。 助成金を上手く活用するためには次の特徴を理解することが必要です。
上記から助成金は次のような活用が有効と考えられます。
助成金はその文字の通り市民活動団体の活動を「助」けるものであり、「主」でないことを理解すると、よりよい助成金活用に繋がります。
助成金の種類
助成金には次のような種類があります。
市民活動団体の組織体制の基盤をつくるもの
NPO法人など法人格を条件とする助成、ボランティア団体(任意団体)でも応募できるもの、活動実績が1年以上などを条件とするものなど。スタートアップ時、団体の基盤整備や設立支援の場合は活動実績を問わない助成もあります。
活動範囲が限定されるもの
全国規模での募集、西日本域、県内、市内など。全国規模の助成金は助成額が100万円を超えるものも多々ありますが、対象が多いため激しい競争になります。ローカル域の場合は競争相手が限られますが、助成額が100万円以下といった規模になります。
分野ごとに特性があるもの
「子ども支援」「環境の改善」「国際交流」など様々。 福祉✕まちづくりといった複数の分野にまたがるものも見られます。
採択率をあげるポイント
助成金は多くの申請の中から審査を経て採否が決まります。 少しでも採択される5つのポイントを紹介します。
1.助成団体はパートナーとして考える
助成団体のみではよりよい社会づくりの目的を達成できないので、助成金を通じ目的を叶えてくれるパートナーとして市民活動団体を探しています。従って、助成金を探す時はお金を主目的にするのではなく、パートナー探しを意識して探します。
2.助成団体の目的を把握する
募集要項や過去の採択事例をしっかり読んで、助成団体の目的を把握します。
3.解決できる方法を具体的に示す
助成団体は、社会的な課題はわかっているので、申請された活動で本当に効果があるかどうかを審査します。従って、その方法がどれだけ社会問題の解決に有効であるのか、それをすることでどう変わるのかを示す必要があります。
4.他の分野も視野に入れる
申請したい事業にピッタリ合わない場合もあります。例えば、障害者の文化支援活動の助成を探して、障害者分野で適当な助成金がない場合、文化活動や地域共生社会づくりの分野も当たってみる、といった視野を広げることも有効です。
5.遠慮せずに相談する
助成団体は自らの目的に沿った申請が届くことを望んでいます。目的から遠い申請は敬遠されます。従って、申請したい事業について、把握している現状、それに対する課題、その解決策、解決にかかる予算、スケジュールなどを事前に助成団体に相談しましょう。
募集時期
助成金の募集開始は申請締切日の2ヶ月前頃に設定されていることが多く見られます。
8月までの募集は助成対象期間が当年度の場合が多く、9月以降の募集は次年度を助成対象期間としているものが多くなります。
助成金によっては、年間で複数回募集をしたり、通年で募集をしたりしているものもあります。通年募集の場合、年間の助成総額が設定されていますので、申請前に必ず助成枠があるか問い合わせして確認してください。
申請手続き
これまでは申請書(紙)を郵送するケースが多く見られました。最近は、ウェブ申請のみ(アカウント作成が必要な場合もあり)、ウェブ+郵送という手続きも増えています。
申請締切は当日消印有効、◯◯時までと様々です。
第三者の推薦が必要な場合があります。推薦者は地方自治体や社会福祉協議会、ボランティアセンターなどです。推薦を依頼する場合は、1ヶ月以上前に依頼することを心がけましょう。
申請書作成のポイント
1.事業計画
目的、活動内容、効果(成果)、実施時期などを考えます。助成金によって、詳細に記載しなければならない場合もあるので、様式の項目をよく確認します。
2.予算書
支出費目と金額の算出:どのようなものが必要か、費目、単価(税込、税別は助成金により異なる)✕必要数、合計額を算出します。スタッフ人件費が対象にならない助成金が多いです。助成金に必要な費目が入っているか確認します。
自己負担を必要とするかどうか確認します。(4/5補助の場合、1/5が自己負担)
3.添付資料
団体会則(定款、規約等)、直近の事業報告書・決算書の提出はほぼ必須です。従って日常から書類を揃えておくとよいでしょう。この他に役員名簿、登記簿謄本(法人の場合、有効期限も確認)、会報誌、パンフレット等の提出を求められることがあります。助成金の募集要項でよく確認しましょう。
4.助成金の受取
助成団体の支払方法もそれぞれ違います。報告書提出後に支払われる場合(精算払い)は、自団体での立替が生じるため資金繰りには注意が必要です。
・概算払い(全額前払い、一部前払い)事業実施後に精算し不要額があれば返還することもあります。
・精算払い。支出済額が対象費目に該当しない場合は、支払額が減額されます。
多くの助成金は市民活動団体が指定した口座への振込を採用しています。振込口座が個人名義不可の場合、実質的に法人格がある市民活動団体しか申請できないことになります。
助成事業の実施
助成団体により、事業報告書や収支計算書の様式は異なります。多くは申請書に沿った様式になっているので、申請書・予算書を参考にしましょう。
添付資料も様々です。例えば領収書のほか、明細書、見積書や請求書、或いは原本又は写しなどです。 事業報告・収支計算の報告様式が違ったまま提出すると、認められずに、金額返還を求められることもあるので、不安な点は助成団体に遠慮なく問い合わせましょう。
助成金の探し方
助成金の探し方が分からない場合、情報収集として以下2つをご紹介します。
長崎市市民活動センターに相談する
相談機能がある当センターにご相談ください。助成金を探す方法や申請したい助成金の抽出、申請書の書き方など各種相談に応じます(要予約)。
『長崎市市民活動センター ランタナ』
E-mail:info@ncacl.net/TEL:095-807-6518
インターネットで調べる
既に目的の助成金がある場合、直接その助成金のサイトにアクセスし、募集要項などを確認してください。
助成金を探し始めたばかりの場合は、助成金情報をまとめて発信しているサイトをご活用ください。
『助成情報navi』
助成金以外の市民活動団体の資金源
助成金の有効範囲は限りがあります。市民活動団体の活動を支えるために必要な資源には次のようなものがあります。
ヒト、モノ、情報、ノウハウ、ネットワーク、目的・目標、情熱・やる気・・・
お金を考える時に、これらも一緒に考えると、ヒト(ボランティア参加)で解決できる場合もあります。自団体の資源は何か、組織内で意見交換をしておくとよいでしょう。 助成金(補助金)以外に市民活動の資金源と特徴は下記のとおりです。
上記以外にも「借入・融資」や「金利・運用益」などもありますが、通常、市民活動団体の資金源としては該当しないことが多いです。
出典 令和5年度長崎市市民活動センター組織運営力アップ講座②活動資金の確保(講座資料より抜粋)
助成金・補助金に近いものとして下記が挙げられます。
物品寄贈
パソコンなどの物品やITサービスの無償提供
表彰
副賞としての賞金。また活動をPRする機会の提供
クラウドファンディグ
サイトによって主に以下のような違いがあります。
≪購入型or寄付型≫
購入型は寄付の返礼として物品やサービスを提供しないといけませんが、寄付型は基本的には返礼しなくても大丈夫です。
≪出資形式≫
目標額まで到達してもらえるもの、到達しなくてももらえる、と2種類があります。
≪クラウドファンディング利用手数料がかかる≫
寄付額全てがもらえる訳ではありません。数%~20%を超える等、様々です。
このように資金源はそれぞれ特徴があります。
助成金に限らず、活動の目的、資金使途、必要額を想定し、資金源の特徴を踏まえて資金確保の戦略を考えるとよいでしょう。
例えば、光熱水費、通信運搬費、事務所経費などは常に必要なので安定性が高い資金源で対応したほうが良いことが分かります。
一方、助成金や補助金は一口あたりの金額が大きいが、安定性、自由度は低いため、一時的な事業費との相性が良いと言えるでしょう。
活動を広めたいときは、表彰やクラウドファンディグでPRをするのも一つです。
助成金・補助金で事業をしている間に、会費や寄付を増やすといった活動も有効です。
自分たちだけでは難しいときは、長崎市市民活動センター「ランタナ」にご相談ください(要予約)。今、何が必要なのか、それは助成金が良いのか、助成金申請書の書き方や事業計画・予算書作成の助言、活動資源の探し方など相談できます。 お問い合わせフォーム