NPO法人やボランティア団体を運営して困ったこと、悩んでいることはありませんか?
長崎市市民活動センター「ランタナ」では組織運営力アップ講座と題して、年3回の講座を開いています。
その第3回目「活動資金の確保」を8月22日(木)に開きました。
講師は福岡で20年以上、市民活動支援を行っている今村晃章氏(NPO法人とねりこ 理事兼事務局長補佐)です。
最終回の今回は、NPO法人・ボランティア団体が活動していくうえで必要な「活動資金の確保」について学びました。
「活動資金のことが知りたい」という理由で参加し、特に補助金・助成金(支援性が強く、資金提供側の事情に左右される財源)についての関心が高いようでした。
「活動資金の確保」
NPO法人やボランティア団体が活動する時の資金のはどのようなものがあるのでしょうか。
① 市民活動団体の主な資金源って?
様々な財源がありますが、主に「会費・寄付」「事業収入」「助成金・補助金」「受託事業」があります。
ボランティアでの活動から、活動が拡充する時に事業による財源(事業財源)を考えることが出てきます。
事業財源のうち、「事業収入」はイベントの参加費収入や物品の販売収入などで会社や商店が行っているものと同じような収入です。
「受託事業」とは、本来は行政や企業が行うべきことを、より専門性の高いNPO法人等へ委託して実施する事業のことです。行政や企業の代わりに行うので人件費が含まれている事業もあります。
② 資金源の特徴
資金源にはそれぞれ特徴があり、主に「自主財源」「他主財源」と「支援財源」「事業財源」に振り分けられます。
「自主財源」:自分たちの努力で得られるお金
「他主財源」:自団体以外から得られるお金。資金提供側の都合に左右されます。
「支援財源」:他者からの支援によるお金。
「事業財源」:事業(仕事)を行って得られる収入。
それぞれ「自主財源 ⇔ 他主財源」「支援財源 ⇔ 事業財源」の相反関係にあります。では、資金源を分類してみましょう。
「会費・寄付」は「自主財源」「支援財源」に分類されます。いずれも募集(自助努力)して、賛同者(他の人たち)から得られるお金です。そこには活動に対する共感があります。
「事業収入」は自分たちの事業の対価(収入)で得られるお金なので「自主財源」「事業財源」に分類されます。
「助成金・補助金」は他団体からの支援で成り立っていますから「他主財源」「支援財源」です。
「受託事業」は行政や企業等から仕事(事業)を受けて収入を得るので「他主財源」「事業財源」となります。
③ 特徴からわかる資金源のメリット・デメリット
「会費・寄付」の場合、取り組む課題や活動に対する共感・賛同によるお金であり、目的に沿った活動に自由に使えます。またお金以外にボランティアで参加するといった協力が見込めます。共感・賛同がその根源なので、継続して支援してもらう(共感し続けてもらう)ために継続した報告や気配りは必要です。
「事業収入」の場合、自団体で稼いだお金なので使い道は自由ですし、事業を通じてスキルを会得することができます。ただ事業をするには先行投資が必要だったり、損をすることもあります。事業内容によっては納税が必要となる場合があり適切に対応しないと法律違反になる可能性があります。
「助成金・補助金」の場合、一度にまとまったお金を得ることができます。事業の成果物が自分たちのものになることが多くそれを転用して新たな活動を生み出すことも可能です。ただし、お金は申請して承認を受けた事業・費目でしか使用できず、単年度のみがほとんどです。
「受託事業」の場合、他から仕事・事業を任せられるので、人件費なども得られますし、金額も大きいです。ですが仕事の成果はあくまで委託元(提供側)のものです。お金の使い道も事業に関することに限られ組織運営には使えないことがほとんどです。
それぞれの資金源のメリット・デメリットを理解した上で、目的、事業、予算額に応じて、それに合う資金源を選ぶという「戦略」を考えていきます。
この後、戦略づくりのワークに取り組みました。
活動にお金は必要なものですが、何のために活動しているのかを忘れず、お金に振り回されないように心がけることの重要性がわかる講座でした。
参加者のみなさんからは、少々難しい内容であったものの、自主財源の大切さ、戦略を具体的に知りたいなど、前向きな意見が多かったです。
組織運営力アップ講座は第1回「会員募集のコツ」、第2回「組織運営のリスクと対策」、第3回「活動資金の確保」を実施し、今年度は終了いたしました。
3回連続講座のため、負担が大きいかもと心配していましたが、続けて参加された方が多く大変うれしく思っております。
NPO・ボランティア団体の組織運営力アップ講座は来年度も予定しております。
みなさまのお役に立てるようなテーマを検討しておりますので、学びたいことがあればお寄せください。